全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)が会員企業を対象に行った「働き方改革の推進に向けた取り組み状況などに関するアンケート調査」によると、「おおむね4週8休」を実現している現場は29・9%で、前年より7・8ポイント増と改善が進んだ。現場技術者・技能者の1カ月当たりの平均残業時間は「15時間未満」が前年より9・6ポイント高い61・1%を占め、これを含め96・1%が、2024年4月から適用される時間外労働の上限である45時間以下だった。
都道府県建設業協会の会員企業を対象に7月1日現在の状況を調査。17・0%の3146社が回答した。
建設業の週休2日を推進するとともに、時間外労働の上限規制に対応し、年間の時間外労働を原則として360時間以内に抑えるために全建が21年度から取り組んでいる「目指せ週休2日+360時間運動」については、前年より2・2ポイント高い8・1%が達成していた。また、17・1%(前年度13・2%)が取り組んでおり、39・4%(同33・7%)が取り組みを検討。浸透が進んでいた。
現場の週休日で最も多かったのは「おおむね4週2休」の42・5%(前年度47・1%)だった。現場の年間休日日数は「101日以上」が50・5%となり、前年より9・3ポイント増加した。
4週8休に向けた取り組み(複数回答)では、「施工の効率化」が50・0%と最も多く、「職員の意識向上」が44・8%で次いだ。
1カ月当たりの平均残業時間は、現場・事務所とも「15時間未満」が多くを占めたが、その割合は技能者が73・2%、事務職員が85・6%に対して、技術者は現場が53・4%、事務所が51・5%で、技術者で労働時間が長くなっている傾向が顕著だった。
現場で時間外労働が多くなる理由(複数回答)では、「書類が多すぎる」(71・9%)と「人員不足」(67・7%)が多く、事務所でも同様の傾向だった。
三六協定については、「一般条項のみ締結」と「特別条項も締結」を合わせ9割強が締結。1年間で延長できる時間は現場・事務所とも「160時間未満」が最多で、現場の約7割が360時間以下だった。
直近1年間の職員の賃金については、44・4%が「基本給のみ引き上げた」、4・6%が「一時金のみ引き上げた」、37・5%が「基本給・一時金とも引き上げた」と回答。9割近くの企業が引き上げを行った。
国土交通省と建設業4団体が申し合わせた、技能労働者の賃金のおおむね5%の引き上げについては、34・9%が「取り組んでいる」、41・3%が「取り組みを検討している」と回答。前向きな対応が約8割に上った。
直近1年間における下請けの労務単価については、63・1%が「引き上げた」と回答した。
提供:建通新聞社