国土交通省は、直轄土木工事・業務でのBIM/CIM適用で、3次元データの活用の高度化に取り組む。設計段階から施工段階へのデータの引き渡しに当たり、ICT建機が円滑に利用できるような方策をICT導入協議会で議論する。直轄の現場ではBIM/CIMの導入実績が着実に増えてきており、今回の議論を通じてデータ活用そのものを深掘りしたい考えだ。
BIM/CIMを導入した現場でも、ソフトやハードの互換性などが課題となって、作成した3次元データを後工程で円滑に使えていない例が少なくない。例えば、施工者の多くが、設計段階で作成した3次元データをいったん2次元データに戻し、ICT建機の仕様に合った3次元データに作成し直しているという。
そこで、設計と施工間での円滑なデータの引き渡しを実現し、追加コストがかからない形でのICT建機の利用を目指す。
電子成果品(土工形状モデルフォルダ)に格納されている3次元データの「Land―xmlデータ」を、ICT建機の稼働に必要となる「TINデータ」に簡易に変換=イメージ図=するため、建設コンサルタンツ協会や日本建設業連合会、全国建設業協会など関連団体の意見を聞きながら、有効な方法を探る。
■BIM/CIM活用、直轄土木で初の3000件超え
国交省の直轄土木事業でのBIM/CIM活用業務・工事の実績件数は、2022年度末の累計で初めて3000件を超えた。12〜22年度の累計実績は全3257件。業務1966件、工事1291件の内訳となっている。
過去5年の単年度ごとの実績をみると、18年度が212件で前年度比60・6%増、19年度が361件で前年度比70・2%増、20年度が515件で42・6%増、21年度が757件で47・0%、22年度が994件で31・3%と推移。23年度からはBIM/CIM活用の原則適用が始まっており、さらに実績が伸びると見込まれる。
原則適用に当たっては、未経験者でも取り組める内容の「義務項目」と、より高度な活用を求める「推奨項目」に分けて取り組むこととしている。
提供:建通新聞社