厚生労働省の調査で、人手不足に直面している企業に今後1年間の対処を聞いたところ、建設業では56%が「正社員採用の拡大」と回答した。この他の回答では、在職者の賃金引上げが42%あった他、休暇の取得促進や所定労働時間の削減、育児支援など賃金以外の労働条件の改善も37%を占めた。離職・転職の防止に向けた労務管理・教育訓練の強化、再雇用や定年延長の拡充も39%が取り組むとした。
全産業平均と比べると、建設業では、賃金を含めて労働条件の改善に積極的だ。ただ、過去1年間の状況を見ても、建設業では賃上げに49%、休暇取得促進などその他の労働条件の改善に34%が取り組んできた。人手不足が長期化する中で、取り組みをどこまで継続できるかが課題となりそうだ。
正社員採用を柔軟化する動きもある。建設業のうち、22年度に新規学卒者の採用枠で正社員を募集したのは74%。このうち、3〜5月の春季のみ募集していた企業は32%だった。しかし、これらの企業でも46%は今後、他の時期の募集を予定・検討しているという。既卒者の応募を認める企業の割合も拡大の見通しで、採用活動が「春季・新卒」から「通年・既卒含む」へと変化しつつあることが分かった。
調査は、30人以上の常用労働者を雇用する全国の民間事業者を対象として、8月1〜7日に行った。
提供:建通新聞社