国土交通省は、ICT施工に関する民間提案を踏まえ、2023年度中に新たに11の基準類の改定に取り組む。ことし5〜6月に民間企業などから提案を募集したところ、26件の提案があった。このうち11件について基準類改定による対応が適当と判断した。ICT機器の活用範囲を拡大し、現場の生産性向上につなげる。
改定するのは、▽ICT適用工種の拡大(砂防堰堤)▽バックホウ2DマシンガイダンスのICT施工への適用▽地上型レーザースキャナー(TLS)を用いた落石雪害防止工の出来形管理▽標尺による縮尺補正を加えた地上写真測量(法枠工)▽スタビライザの施工履歴データを用いた出来形管理▽レーザースキャナーを用いた吹き付けの出来形計測▽法面工の法面展開図作成を3Dデータに代替▽施工履歴データを用いたサンドコンパクションパイル工・ペーパードレーン工の出来形管理▽モバイル端末を用いた写真測量(LiDAR併用型)を用いた小規模土工の出来形管理▽地上写真測量(LiDAR併用型)を用いた出来形管理▽UAV写真精度確認へのSfM解析レポートの活用――の11件。
このうちレーザースキャナーを用いた吹き付け出来形計測は、法面に吹き付けられたモルタルの厚さをTLSで計測するもの。従来手法では吹き付け面の一部を削孔し、吹き付けの厚さを実測する必要があった。TLSでの計測が可能となれば、実測のための足場の設置、削孔・実測が不要となり、高所作業の削減による現場の安全性向上や、効率化が期待される=図参照。
法面の関連ではこの他、法面展開図作成を3次元データで代替できるようにもする。出来形計測結果として作成している法面展開図の代わりに、点群データと点群処理ソフト上で算出した出来高(面積、法長)の提出を認める。
いずれも本年度に現場で試行し精度を確認した上で、基準化を検討する。
ICT施工の基準類は19年度以降、民間企業などから提案を受け付け、関係業団体とも認識を共有しながら策定・改定を行っている。現場で求められる技術・工種に対して新しい基準類をより早く整備する。
提供:建通新聞社