国土交通省は、小規模土工でのICT施工について、対象工種を拡大し、2024年度から電線共同溝工事で本格的に適用を始める。このため本年度中に電線共同溝工事でモバイル端末を用いた出来形管理を試行する他、ICT建機の刃先データを活用した出来形管理手法も検討。試行結果を踏まえ、小規模土工のための実施要領を改める。有識者によるICT導入協議会で説明した。
国交省では、中小企業にICT施工を普及するため、小規模工事での適用に力を入れている。21年度に小規模土工のための実施要領を策定。対象工事を拡大しながら、小型バックホウによるICT施工や、モバイル端末を用いた3次元データによる出来形管理を実施してきた。これを電線共同溝工事にも広げる。
対象現場は、施工場所が狭く、ドローン測量やTLS(地上設置型3次元レーザースキャナー)での出来形管理が困難な、都市部での工事をイメージする。試行に際して、電線共同溝工事をモバイル端末などで出来形管理する試行要領案は、22年度に策定済み。
本年度は試行案に基づき、モバイル端末、TS光波方式、TS(ノンプリズム)、RTK―GNSSといった計測技術の活用に取り組む。併せて、ICT建機のバックホウの刃先で、施工時に3次元座標データを取得できる機能(単点観測技術=イメージ図参照)を使って、出来形管理ができるようにもする。
刃先による出来形管理では、マシンガイダンスを用いた施工と同時に出来形管理を行うことができる。このため、事後の計測作業とそれに伴う機材、人員の手配が不要となり、現場作業の省力化が期待される。
小規模土工でのICT施工はこの他、24年度から道路付属構造物工事の場所打ち水路工にも広げる。このため本年度は、基準断面での3次元計測による標高確認などを検証することとしている。
小規模土工以外では、構造物工の基礎工でICT施工の適用拡大を予定。新たに鋼管ソイルセメント杭で3次元計測技術による出来形管理を可能にし、杭芯位置や杭径計測作業の短縮につなげる。
提供:建通新聞社