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2023/09/20

自治体で対応に遅れ 資材価格高騰への対応

 全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)が、改正品確法に基づく新運用指針への発注者の対応などに関して会員企業にアンケートを行ったところ、「最新の労務単価や高騰する資材価格などの予定価格の反映状況」では、「(おおむね)反映している」割合は、国土交通省が79・6%、都道府県が61・7%、市区町村が44・1%だった。契約変更などを含め市区町村での対応の遅れが目立った。一方、中建審が基準を勧告した工期については、国土交通省と地方自治体とも、「適正(おおむね適正)」とする回答が約8割に上った。
 6〜7月に調査し、47都道府県建設業協会と会員企業2524社が回答した。
 予定価格への資材などの実勢価格の反映に関して会員からは「市場価格が設計価格に反映されるのに時間がかかり過ぎる」といった声が目立った。交通誘導員の単価の実勢との乖離(かいり)や、実態にそぐわない歩掛などを指摘する意見もあった。また、現状の市区町村の労務単価では、懸案である週休2日は難しいとし、改善を求める声も上がった。
 スライド条項の活用など「施工条件の変化や資材価格高騰などに伴う契約変更」が「(おおむね)行われている」とする回答は、国交省が86・2%、都道府県が63・4%、市区町村が38・3%と、発注機関による格差がさらに広がった。
 回答者からは、「スライド条項の1%の受注者負担が大きく、事務負担の労力に見合わず断念」「市とスライド条項の事前協議をしたが、県での適用実績がないことを理由に断られた」「都道府県や市区町村は予算ありきで、増額を回避する傾向がある」といった声が上がった。また、現場の実態を無視し、標準歩掛を優先する発注者の姿勢を問題視する意見も出た。
 直近1年間で実際にスライド条項の申請を行ったのは44・7%。その手続きや結果については、61・2%が「満足(やや満足)」しているのに対して、29・0%が「不満(一部不満)」があった。「不満(一部不満)」を感じた発注者(複数回答可)は、国交省は15・6%だったが、都道府県(40・9%)と市区町村(40・5%)はいずれも4割を超えた。
[賃上げ加点に4割不満]
 国交省の「総合評価落札方式における賃上げ実施企業への加点措置」については、31・7%の800社が加点申請を行っていた。また、同制度については61・6%が「満足(やや満足)」、38・4%が「不満(一部不満)」と回答した。
 賃上げ加点に「不満(一部不満)」とした理由については▽制度がいつまで続くか分からないため、経営を圧迫するとともに、賃上げを見越した内部留保などの検討も必要になり、結果的にマイナスに働く▽達成できなかった時の減点措置が厳しすぎる。実績で評価すべき▽競争激化や予定価格の低下によって完工高が下がっている中、1・5%の賃上げを継続するのは困難―などの声が上がった。

提供:建通新聞社