国土交通省は2024年度、建設分野への外国人材の定着に向けた取り組みを強化する。外国人の技能者と技術者を対象とした実態調査などをより深掘りし、調査結果を踏まえ、効果的な対策を考えていきたいとしている。24年度当初予算編成で関連経費1億9000万円を要求している。
技能者についてはこれまでも、「失踪率」に着目した調査を実施し、特定技能者などの共生・定着状況の実態把握に努めてきた。今後は別の指標を加えることとし、23年度中に新たな指標を固め、24年度から指標ごとの定点調査も実施していく。新たな指標は、「給与」「生活の満足度」「就労環境」といった設定が考えられるとしているが、現時点では未定。
新たな指標を加えた定点調査で見えてくる特定技能者の実態について、国交省の担当者は、「24年度以降に詳しく把握・分析した上で、外国人材のさらなる定着に必要となる取り組みの検討につなげたい」としている。
技術者に関しては、現場代理人として外国人材を雇用している企業などへのヒアリングを実施する。ヒアリングの結果を踏まえ、大学や専門的な教育を受けた、いわゆる高度人材≠フ雇用を促進するために必要な施策の検討を進める。24年度以降にモデル的な取り組みの実証も行うとしている。
外国人材の定着へはこの他、適正な就労監理の実現にかかる経費も要求。地方整備局での外国人材の受け入れ計画の申請・認定に要する審査期間の短縮を検討する。受け入れ計画の認定は、地方整備局によって異なるが、数カ月かかっている現状がある。そこで審査期間を短縮するための方策を考え、円滑な外国人材の受け入れにつなげる。
具体的には、書類不備などによる手戻りを極力少なくするための運用面の改善策の他、「外国人就労管理システム」の改修も視野に、審査期間の短縮に効果がある取り組みを探る。
外国人材の定着に向けては、日本経済が伸び悩む中、先進諸国との給与の格差も総じて開き始めているともされ、就労環境を含む実態の把握から外国人就労管理システムの改修まで幅広い取り組みの検討が急務になっている。第一生命経済研究所が作成している「出稼ぎ魅力度指数」でも日本の魅力は下降し続けている。
提供:建通新聞社