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2023/09/08

長時間労働是正へ モニタリング調査を強化

 国土交通省は、建設業の長時間労働の是正に向け、2024年度からモニタリング調査の取り組みを強化する。具体的には、調査に携わる人員を増やし、調査数を増やす。これについて和田信貴事務次官は建設専門紙の合同インタビューで、「24年度概算要求と併せて、建設Gメンのような形での定員要求をしている」としており、24年問題≠ヨの対応を一層進める構えだ。
 モニタリング調査は、国交省が21年度建設業取引適正化推進期間の重点的取り組みとして始めたもの。民間工事を含む稼働中の建設現場で、現場代理人に対して、工期や請負代金の設定状況をヒアリングする=図参照。調査者は改善点をその場で指摘するとともに、改善点をまとめた文書を会社に通知し、是正を促す。
 調査範囲は当初、公共工事の発注者・元請け間、元請け・下請け間、下・下間の各請負契約に限定していたが、昨年度から民間工事にも拡大。本年度はさらに、残業時間の上限規制を見据え、厚生労働省と連携して、工期の適正化に特化したモニタリング調査を実施。現在、労働基準監督署に同行してもらう形で、訪問支援などの取り組みも始めている。
 22年度の調査実績は149カ所。23年度も同程度の箇所数を予定している。24年度からはモニタリング調査に携わる人員体制を増強するなどし、工期や請負代金の適正化につなげる。中央建設業審議会の基本問題小委員会で検討が進んでいる、建設業法などの見直しにも対応していけるよう、24年度以降も増員の方向で検討するともしている。
 増員では併任を含め、本省と地方整備局(北海道開発局を含む)の体制を強化する。
 国交省は、建設業が社会インフラの整備、地域の守り手といった役割を持続的に果たしていくために、担い手の確保が不可欠で、労働時間や賃金といった処遇の改善が急務と見ている。労働時間については、減少傾向にあるものの、依然、全産業平均と比べて長い状況が続いており、特に民間工事での長時間労働是正への取り組みが必要とされる。
 昨年度に公表したモニタリングの調査結果によると、工期設定に関して約半数の民間現場で、発注者が協議に応じてくれないと元請けから回答があった。

提供:建通新聞社