厚生労働省は9月5日、労働政策審議会安全衛生分科会を開き、建設業労働災害防止規程の変更案を諮問した。同規定は建設業労働災害防止協会が制定した労災防止の自主基準で、厚労相が認可し、会員に順守義務が課される。一側足場の使用制限など近年の労働安全衛生関係法令の改正を反映するとともに、建災防が独自に求める「新ヒヤリハット報告」の活用を明記する。
主な変更内容のうち建災防が独自に定める「上乗せ規定」では、ヒヤリハット事例を収集・分析して労災対策に生かす「新ヒヤリハット報告」の活用を明記。労働者の心身の状態に着目し、労災の未然防止に生かす。
地山や盛土の崩壊による危険の防止、脚立などの適正使用に関する規程を変更・追記。車両系建設機械のシートベルト着用についても記載する。
近年の労働安全衛生関係法令やガイドラインの改正を反映した内容としては、一側足場の使用制限に関する規定を新設。
一人親方に対しても雇用されて働く労働者と同様、石綿や酸欠など危険有害な作業における健康障害防止措置を要することを追記する。石綿障害予防の関連では、解体作業に先立つ事前調査に関する規程も盛り込む。委員からは、有資格者による事前調査の義務化について、発注者や最終消費者への周知を求める意見が出た。
化学物質規制に関する法令改正も反映。特定化学物質障害予防規則に「溶接ヒューム」の濃度測定に基づく保護具着用が義務化されたことを踏まえ、粉じんによる健康障害を防ぐため、作業主任者の規定を新設する。また、事業者自身による化学物質の自律的管理の考え方に基づき、ばく露を最小限度にする規定も設ける。
隧道等建設労働者健康情報管理システムの活用規定を新設する。
この他、安衛分科会では林業・木材製造業労働災害防止規程での労災防止規定の変更を諮問。上乗せ規定では、特別教育修了後、就業3年未満の新規就業者に対する配慮・指導規定を新設する。
提供:建通新聞社