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2023/09/05

賃上げ加点 全表明者が達成

 賃上げを行う企業を総合評価落札方式で加点する取り組みで、国土交通省の直轄工事で賃上げを表明した全ての企業が賃上げを達成していた。国交省では賃上げを表明した企業の実績確認を毎月実施しており、7月までに確認が終わった367者の達成状況を集計した。367者のうち一般土木で表明した176者の賃上げ率は、資本金1億円以下の中小企業で「1・5〜2%」、大企業で「3〜3・5%」が最も多いことも分かった。
 加点措置は、2022年4月1日以降に契約締結した、総合評価の全ての案件に適用している。賃上げを表明した入札参加者には、暦年(22年)または年度(22年度)での「従業員への賃金引き上げ計画の表明書」の提出を求めている。賃上げが行われたかどうかの実績確認は事後に行う。現在、国交省では、22年・22年度分の実績確認を月ごとに進めており、7月までに暦年表明367者分の確認を終えた。
 また、367者のうち、一般土木で賃上げ表明した176者について、賃上げ率を確認したところ、中小企業(157者)では「1・5〜2%」が最多となり、「2〜2・5%」「10%以上」が続いた。大企業(19者)は「3〜3・5%」が最多を占め、以下、「3・5〜4%」「5〜6%」などの順となった。
 国交省直轄工事での賃上げ加点措置は、22年4月の運用開始から23年3月末までの1年間で、全6679件の工事が対象となった。これに対して4507者(延べ4万0295者)が入札に参加。うち67%に当たる3010者が賃上げを表明した。このうち落札者は2709者あり、うち2029者が賃上げ表明者となった。これらの実績は、農業・港湾空港関係を除く、北海道開発局、8地方整備局、沖縄総合事務局の発注工事を対象に集計。22年度は落札者の約4分の3が賃上げを表明した形だ=表参照。
 さらに調査では、直轄工事を安定的に受注している企業ほど表明率が高い傾向にあることも判明。過去3カ年での直轄工事の年平均落札件数が「9件以上10件未満」の企業では、表明率が100%、「8件以上9件未満」では97%、「10件以上」で96%となる一方、「0件」で40%、「1件未満」で57%、「1件以上2件未満」で68%となった。
 表明率を工種別に見ると、「鋼橋上部」が98%で最多。以下、「アスファルト舗装」が87%、「一般土木」「橋梁補修」が各81%、「維持修繕」が69%、「塗装」が61%、「建築」が54%、「電気設備」が48%、「通信設備」が45%、「受変電設備」が43%、「造園」が40%で続いた。公共工事の割合が高い工種で表明率が高かった。
 賃上げ実績の評価は、時間外手当や賞与を除いて評価する場合もあり、必ずしも総支給額の賃上げ率を示すものではないとしている。

提供:建通新聞社