トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2023/08/28

海底測量をAIで効率化 24年度試行へ

 国土交通省は、海底の地形測量にクラウドを使ったAI処理「マルチビームデータクラウド処理システム」を導入し、浚渫工事の出来形測量などを効率化する。本年度中に利用マニュアルをまとめ、2024年度に試行、25〜26年度の本格運用を目指す。
 浚渫工事の出来形測量では、マルチビームソナー(音響測深)で浚渫後の海底の地形測量を行っている。船上で取得した地形データは、データの読み込みから選別、点群データの作成、ノイズ除去、図面の作成までを帰港後に手動で処理する必要があり、測量結果の確認に1週間程度かかっている。
 そこで処理方法をクラウド処理に変える。船上で取得した測量データをクラウドサーバーに送信し、自動ノイズ処理を行う。船上に居ながらクラウドとAIによるリアルタイムノイズ除去や自動図化ができるようになり、作業時間、作業員、機材の拘束が大幅に解消されるという。通信環境が整っていれば、帰港を待たずに一連の処理作業を実施できる。
 システムの構築に向けては、20年度に試験システムを開発。実海域で4G回線や、ローカルWi―Fiの実験を実施しており、現在、関東、中部、中国、四国の4地方整備局で順次、実証を進めている。実証結果を踏まえ、本年度中に試行のための利用マニュアルをまとめる。
 24年度は浚渫工事などで試行しながら、データ管理・運用方法を検討。基準・ガイドラインを整備し、25年度以降の本格運用に備える。
 浚渫以外の工種への適用検討も進めるとしている。基礎工、ブロック据付工、海上地盤改良工への適用などが考えられそうだ。
 国交省の担当者は、「クラウド処理を使えば、過去の測深データと比較することで、自然災害などで流出したがれきが海底に堆積した状況の確認なども迅速に行えるようになるのではないか」ともしている。

提供:建通新聞社