国土交通省は、ダムの本体工事を対象とした、3次元モデルの本格活用に取り組む。設計データを発注段階で入札参加者に提供し、積極的な技術提案を促す。現場の無人化や自動化施工、高度な出来高管理などに生かし、発注から完成までの全体で生産性を高める。現在のところ、利賀ダム(富山県)と本明川ダム(長崎県)が候補となっている。
ダムなどの大規模構造物ではこれまでも3次元設計データを作成していたものの、工事発注図面は2次元だったため、設計を担当する建設コンサルタントは2次元と3次元の両方で設計する必要があった。また、3次元モデルは工事の受注者の決定後に提供していたため、早期の段階で活用することができずにいた。
そこで国交省は、発注段階で入札参加者に3次元データを提供。技術提案や施工計画の検討に生かしてもらうことにした。優れた提案を早くから取り入れ、工事を円滑に進められるようにする。
3次元データはBIM/CIMモデルや点群データで構成。部材やボリューム、金額など、必要な属性情報を検討し、ひも付ける。3次元モデルの本格活用に先立ち、どのようなメタデータが必要かを示すガイドラインを2023年度に作成する。工事発注図書としての3次元モデルの仕様を定める。
24年度以降、3次元設計データによる数量算出や、工事発注時の応札者へのデータ提供を試行していく。
利賀ダム工事事務所は今年2月に、ダムのBIM/CIMモデルと、周辺地形などを地理情報システム上で閲覧できるウェブサイトを公開している。堤高112b、堤頂長255bの重力式コンクリートダムで、転流工を現在進めている。
本明川ダムは堤高60b、堤頂長340bの台形CSGダムとなっている。
提供:建通新聞社