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2023/08/23

流域治水プロジェクト2.0 8水系を策定

 国土交通省は、全国109の1級水系のうち8水系の「流域治水プロジェクト2.0」を先行してまとめた。追加対策を盛り込むなどし、現行のプロジェクトを更新した形だ。残る水系も2023年度中に更新する。各水系での追加対策はそれぞれの河川整備計画に反映した上で、順次具体化を目指す。8月22日に8水系分を公表した。
 8水系は、豊平川(北海道)、鳴瀬川(宮城県)、関川(新潟県)、雲出川(三重県)、狩野川(静岡県)、太田川(広島県)、仁淀川(高知県)、緑川(熊本県)。
 流域治水プロジェクトはこれまで、国管理河川の対策を中心に明示してきたが、プロジェクト2.0では、直轄以外の河川整備、まちづくりや内水対策など河川区域外の治水対策も網羅。対策箇所は全て地図上にプロットし、流域全体の治水対策を一目で把握できるようにもした。
 国交省は、気候変動の影響により、40年ごろに降雨量が1・1倍、河川流量が1・2倍、洪水発生頻度が2倍に増加するとの想定を踏まえ、流域治水プロジェクトを取りまとめている各流域治水協議会に浸水被害(8水系の浸水世帯想定は表参照)を見直すとともに、増大する被害を解消するために必要な治水対策を追加し、明示するよう指示。現行プロジェクトの更新を進めてきた。
 例えば、仁淀川水系では、気候変動に伴い、浸水世帯数が約8900世帯から約1万0400世帯に、浸水面積が約2800fから約3400fに、被害額が約3940億円から約5520億円に増えると推定。プロジェクト2.0での追加対策により、浸水面積を約10f、被害額を約1億円に軽減し、浸水世帯数を0世帯へと解消する。
 このため、仁淀川の本川では、せきの改築や遊水地の整備、既設ダムの有効活用に加えて、「MIZBEステーション」の整備や堤防の強靱(きょうじん)化などを、新たな治水対策として追加した。
 8水系以外の流域治水プロジェクト2.0については、8月末までに梯川(石川県)、由良川(京都府、兵庫県)、遠賀川(福岡県)の3水系、残る水系を23年度末ごろに公表する見通し。

提供:建通新聞社