国土交通省は8月18日、中央省庁の2024年度営繕計画書に対する意見書を作成し、各省庁と財務省に送付した。24年度に計画されている営繕事業費の総額は、前年度比27%増の4998億円となり、4年ぶりに増加した。過去5年間は4000億円前後で推移してきたが、防衛省の前年度計画額が2倍増となる1886億円と大きく伸び、全体を押し上げた形だ。
意見書は、「官公庁施設の建設等に関する法律(官公法)」に基づくもので、国交省が技術的な見地からまとめたもの。官庁施設整備に対する基本的な考え方を示した「総括意見」と、施設ごとの所要経費や計画工期などを示した「個別意見」からなる。意見書を踏まえ、各省庁は概算要求に営繕事業費を盛り込む。
今回公表したのは総括意見と、個別意見のうち、各省庁から送付された営繕計画の所要経費の総額のみとなっている。施設ごとの所要経費は概算要求後の公表となる。
総括意見では、官庁施設の整備で求められる社会的要請事項などを明示。主には▽防災・減災対策の推進▽長寿命化の推進▽地域社会との連携の推進▽環境負荷低減への取り組み▽木材の利用の促進▽適正な事業実施への対応―について、それぞれ留意することを盛り込んだ。
このうち、適正な事業実施への対応では、24年4月からの建設業への時間外労働の上限規制適用に備え、発注者の役割として、市場実態を反映した適正な予定価格の設定、賃金・物価水準の変動を踏まえた請負金額の変更などが求められているとした。省エネルギー対策など環境負荷の低減や施設の木造化に徹底して取り組むようにも求めた。
主要省庁の24年度営繕計画書に見る所要経費の総額は次の通り(7月31日時点の集計、一覧は表参照)。
▽防衛省―1886億円(前年度比103・7%増)
▽法務省―759億円(9・5%増)
▽国交省―703億円(14・7%増)
▽財務省―506億円(5・9%増)
▽内閣府―159億円(35・1%減)
▽厚生労働省―197億円(4・1%減)
▽最高裁判所―146億円(6・6%増)
▽農林水産省―112億円(6・7%減)
▽外務省―139億円(58・0%増)
提供:建通新聞社