国土交通省は、直轄事業で2023年度からBIM/CIMの原則適用を開始したことを踏まえ、課題の収集によるフォローアップを行う。発注者情報要件や実施方針・ガイドライン、将来的な積算資料などに生かす。本年度は特に、受発注者間や発注者内部での情報の引き継ぎ、3次元モデルを活用した数量算出(積算)について、優先的に取り組みを強化する。
委員会の冒頭、イノベーション担当の森下博之参事官は「原則適用を進めるだけでなく、BIM/CIMの高度な利用をさらに進める」とあいさつ。委員長を務める矢吹信喜大阪大学大学院教授は「新しくBIMCIMを見直し、進める年になる」と述べ、活発な議論を促した。
8月10日に開いたBIM/CIM推進委員会で今後の方針を説明した。
国交省は本年度から、全ての詳細設計・工事で3次元モデルを活用した全体イメージの確認、既設との干渉箇所などでの確認を義務化。その他の測量・地質調査や概略設計も含め、全ての段階で3次元モデルによる解析など高度な内容を推奨している。また、発注者から受注者に設計図書の基となる情報を提供するデータシェアリングも行っている。
原則適用のフォローアップでは、▽実施時の課題▽推奨項目の実施状況▽好事例の収集・整理―などを行う。
10日の委員会では、2次元図面による従来の事業手法で生じた、発注者側の課題を整理した。地元調整や関係者協議による修正設計対応などのデータの引き継ぎが不十分になることや、積算に必要な数量のチェックに時間がかかること、工事の進捗状況の把握が困難なことなどが課題に挙がった。
こうした場面でBIM/CIMモデルを活用し、▽情報の引き継ぎの円滑化▽数量算出の効率化▽受発注者間でのプロジェクト管理の高度化▽受注者への資料共有▽内部・外部への説明▽施工データの引き継ぎ―などの生産性向上につなげる。
提供:建通新聞社