国土交通省は、建設工事の安全衛生対策について、代表的な項目を整理し、元下間や下請け間で経費の負担区分を明確にする「確認表」のひな型をまとめた。8月9日付で、建設業団体に対して確認表を活用し、安衛経費の適切な支払いにつなげるよう促す通知を発出した。専門工事業団体には、ひな型を参考にして工種ごとの特性に応じた確認表を作成するよう求めた。
請負契約に際して安衛経費が不明確な例は、特に中小規模の民間工事を中心に見られる。値引きの原資とされる実態もあるといい、国交省が課題視している。
確認表は、注文者(元請け、上位下請け)が下請けに見積もり条件を提示する際に活用し、分担区分を明確化することで適正な支払いにつなげる狙いがある。一戸建て住宅などの建設時、個人を含む発注者に重要事項説明を行う際の提示も想定している。
確認表では、法令に基づき建設工事で行わなければならない安全衛生対策の項目を整理。注文者と下請けのどちらが個々の対策を実施し、費用を負担するかをチェックシート形式で確認できるようにする。
工事の内容に応じて安衛対策の項目も異なることから、工種別の確認表の作成も進める。今回の通知に合わせ、先行して検討を進めていた▽型枠▽管▽内装仕上▽住宅―の確認表の案も建設業団体に送付した。これらを参考に、他の工種でも作成を促していく。
今後は、請負契約の際に安衛経費を内訳明示する「標準見積書」の作成を予定。有識者らによるワーキングでの議論を経て、本年度内にまとめたい考えだ。
ゼネコンや専門工事会社だけでなく、一人親方や民間工事の発注企業、個人を含めて、安衛経費の適正な支払いの啓発にも取り組んでいく。
提供:建通新聞社