トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2023/10/03

建設トップランナーフォーラム「#戦略的広報のすゝめ」I

 建設業や農林水産業の魅力をどう発信するか―。後半のトークセッションではSNSでバズる≠ノは「知りたい情報を伝えるマーケットインの視点が重要」といった意見があった。パネリストは国土交通省大臣官房審議官(不動産・建設経済局)の笹川敬氏、農林水産省農村振興局整備部長の青山健治氏、国土総合研究所長の大石久和氏、写真家・山崎エリナ氏の4人。後半の部で事例を発表した、白石優生氏(農水省大臣官房広報評価課広報室)、柿ア赳氏(新庄砕石工業所取締役管理部長)、山本健太郎氏(大高建設総務部係長)の3人も登壇し、意見を交わした。司会は建設トップランナー倶楽部代表幹事の米田雅子氏が務めた。
◇ ◇ ◇
 SNSのメリットについて笹川氏は「国民に直接情報を届けられること」とした。一方「『こんなことを発信すると上司から責められてしまうのではないか』とためらうこともある」と語った。青山氏は「新卒採用で学生から『農水省に入ったら省公式YouTubeチャンネルバズマフ≠やれますか』と聞かれる」と職員の採用活動にも効果が出ているとした。大石氏は「かつて広報はアタッチメントでしかなかった。皆さんが広報を事業の本質そのものと捉えて取り組んでいることが興味深かった」といい、インフラの必要性や仕事の魅力を伝えていく難しさにも言及した。山崎氏は「『誰かに伝える時は相手が何を知りたいか』。いいキーワードだ。思いを伝えたいという気持ちに引き込まれた」と感動を伝えた。白石氏は、自身が運営する「ばずまふ」の再生回数が100万回を超えた経験に触れ、「バズる≠スめには相手が知りたい情報を提供するマーケットインの視点が重要だ」とした。その上で「行政も企業も自分たちが出したい情報だけを発信したがる。それではだめだ」と率直に意見した。
 柿ア氏は、YouTube「石男くんの建設チャンネル」の運営者としての視点も交え、SNS発信の本業への相乗効果を披露。「地元ではない工事で施工体制をスムーズに組めた。そこで活用した3次元データを地元高校生に見せることもできた。採用にもつながっている」と話した。山本氏は、メタバース空間での現場見学会など発信したい情報を3D空間で表現する広報手法を確立し、採用活動などにつなげているという。「BtoB≠ニかBtoC≠ニか耳にするが、自分の中ではBtoP(パーソン)$lなんです。向こうにいる人がどう考えていて、それに対してどう発信するのかが大切」と語った。
 米田氏は「事例発表はデジタルやメタバースなど新しい発信手法だが、それぞれに現体験というアナログが脈々と流れていることを感じた。だからこそ人に伝わっている面もあるのではないか」と感想を述べ、締めくくった。(おわり)
(地方建設専門紙の会・建通新聞社)