2023/09/05
建設トップランナーフォーラム「#戦略的広報のすゝめ」E
若者に向け、建設業や農林水産業が有する魅力をどう発信するか―。前半のトークセッションでは、広報に戦略的視点が必要といった意見が出た。
パネリストは国土交通省大臣官房技術審議官の佐藤寿延氏、林野庁森林整備部長の小坂善太郎氏、建設業技術者センター理事長の谷口博昭氏、農林中金総合研究所理事長の皆川芳嗣氏の4人。前半の部で事例を発表した、浅野和香奈氏(アイ・エス・エスコンサルティング事業部、日本大学工学部客員研究員)、萩原一宏氏(帯広二建会代表幹事)、飯田竹世氏(常陽建設社長)、高桑あかね氏(筑波大学)、平田美紗子氏(林野庁北海道森林管理局企画課)の5人も登壇し、意見を交わした。司会は建設トップランナー倶楽部幹事の荒木正芳氏が務めた。
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デジタルネイティブと言われるZ世代を中心にSNSを駆使した情報の発信や交流が活発化している。若い世代に伝わるように届けるには、何をどう発信すればよいのか。これからの広報活動に必要な戦略とは何か。
佐藤氏は事例発表を振り返り「仕事に対する喜びを感じながら楽しそうだった。広報とは本来クリエイティブで楽しいもの」といい、今後は「戦略的に、いわゆる尖った広報に注力することになるだろう」と見通した。平田氏も「楽しくないところに若い人は来ない」と強調。「多様性を受け入れる姿勢で、若い人たちのチャレンジを後押ししてほしい」と年長世代に理解を求めた。小坂氏は「インフラの守り手としての誇り、感動を再発見した気持ち」と語り、かつての後輩(平田氏)の活躍に目を細めた。また、インフラ老朽化を地域力で解決しようという浅野氏の発表「橋のセルフメンテナンス活動」のように、地域住民との協働という視点をキーワードに挙げ「地域とのつながりを持つことが建設業、農林水産業の強み」として、今後の広がりに期待を寄せた。浅野氏は、地域住民との協働では「相手の目を見てしっかり話すという基本が大事」と話した。
谷口氏は「今の若い人たちは3K(きつい・汚い・危険)という言葉そのものを知らないという人が少なくない。これからは新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)の時代。発信する人たちも十分に認識する必要がある」とし、筑波大学4年生の高桑氏も「発表資料を作成する段階で(3Kという言葉を)初めて知った。今の学生はほとんど知らないと思う」と続けた。
皆川氏は、常陽建設と筑波大学による建設業のブランディング、帯広二建会のコンストラクション甲子園といった事例を引き合いに、若い世代との連携を「可能性に満ちあふれた取り組み」と評価。さらに「メディアツールの技術革新とともに、例えば林業であれば現地の清涼感が伝えられるようになったらいい」と広報の発展性に期待を寄せた。
(地方建設専門紙の会・建通新聞社)