国土交通省は、入契法で公表が義務付けられている入札・契約情報の公表事項について、事例集を作成する。上半期中の公表を目指す。国交省の調査によると、情報の公表を適切に実施している地方自治体は全1788団体のうち、1081団体にとどまった。事例集の作成と併せて、確実な公表を促していくとしている。
同取り組みは、入札・契約情報を公表することで、透明性を確保し、公共工事の入札・契約での不正行為を防止するとともに、国民に対して、適正に入札・契約が行われていることを明らかにする狙いがある。
地方自治体が公表すべき事項は、発注見通しでは、工事名や場所、工期、種別、概要などの公表を義務付けている。個別工事の契約後に公表すべき事項では、一般競争入札への参加申請者の名称、入札者名、入札金額、落札者名、落札金額、総合評価落札方式の落札決定基準や落札者決定理由など。入札契約前に公表すべき事項では、一般競争入札の参加資格・参加資格者名簿、指名競争入札の参加資格。参加資格者名簿、指名基準などを、遅滞なく公表しなければならないとしている。
にもかかわらず、22年度の入契調査では、情報公表を適切に実施している地方自治体が全1788団体中1081団体にとどまった。内訳は都道府県46団体、政令市20団体、市区町村1015団体となっている。
国交省では、公共工事の入札結果を公表していなかった福岡県大任町の事案を挙げ、入契法で義務付けられた事項を公表していない場合は、規定違反状態であり、直ちに是正が必要としている。
大任町では暴力団などによる犯罪予防を理由に入札結果を公表していなかったが、国交省は町に対して、「義務付けられた事項が実施されておらず、改善の必要がある」として是正するよう通知。町では省のアドバイスを踏まえ、県警に相談した上で、この4月から公共工事の入札結果の公表を再開している。
提供:建通新聞社