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2023/08/09

法定福利費の内訳書 活用率、民間で4割にとどまる

 国土交通省の調査によると、民間工事と、市区町村発注の公共工事で、請負代金内訳書への法定福利費の明示が、十分になされていないことが分かった。法定福利費を明示した請負代金内訳書を活用していた現場の割合が、2022年度は民間工事で約4割にとどまった。公共工事では市区町村の発注案件で活用率が低かった。
 調査によると、法定福利費を明示した請負代金内訳書を活用した現場の割合は、公共工事で21年度が63・8%、22年度が68・0%、民間工事で21年度が37・1%、22年度が40・8%と推移。公共、民間ともに前年度より活用率が上がっており、民間で低い状況が続いていた。
 一方、公共工事での活用率を発注者別に見ると、国(他省庁含む)が85・3%、都道府県が75・0%と高かったのに対して、市区町村が52・5%と5割程度にどどまり、国や都道府県と比べて市区町村の発注工事で、より低くなっていた=グラフ。
 また、21年度から22年度の活用率の伸びを比べると、都道府県で5・9ポイント伸びたのに対して、国と市区町村では活用率が低下。国でマイナス3・4ポイント、市区町村でマイナス4・7ポイントと後退した。
 調査は、建設業許可業者から無作為に抽出した3万者を対象に、ウェブアンケート方式で実施した。17年度から毎年実施しており、今回の調査期間は22年11月〜12月となっている。
 請負代金内訳書は、請負契約後に請負代金の内訳を発注者と受注者で確認し、工事数量の増減などによる契約変更を円滑に行えるよう、受注者が作成しておくもの。
 国交省の直轄工事では、受注者に対して、請負代金内訳書に作業員の健康保険・厚生年金保険・雇用保険の事業主負担額を記載することを標準化している。法定福利費が著しく低い場合、発注者が支払額の適正性も確認する。
 国交省の担当者は、「法定福利費を下請け企業から技能者まで行き渡らせるためには、元下間、下下間だけでなく、受発注者間でも、請負代金内訳書に法定福利費を明示する取り組みを徹底していく必要がある」としている。

提供:建通新聞社