農林水産省は、2024年度の予算概算要求の重点事項案をまとめた。人口減少により、農業水利施設の点検・操作や、集落での共同活動が困難になる地域でも安定的に農業生産が可能となるよう、基盤施設の保全管理に必要な予算を要求する。適切な保全管理に加え、末端施設の管理に要する労力の省力化につながるような整備事業を推進する。8月3日に開かれた自民党の総合農林政策調査会・農林部会で提示した。
政府がまとめた「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」を踏まえ、対応する予算の要求事項を整理した。ただし、防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策に要する経費や、食料安全保障の強化に向けた経費については別途、予算編成の過程で検討するとした。
農業政策の展開方向のうち施設関連の内容を見ると、特に用水路などの末端施設について、特に中山間地域で草刈りなどの共同活動が困難になっている現状を問題視している。このため、開水路の管路化や、あぜ道の拡幅、法面の被覆が必要としている。これを受けて、予算の概算要求では、管理の省力化につながるような各種整備に重点を置くこととした。
また、ダムや頭首工といった基幹施設については、省エネ化や集約・再編、ICT活用などを推進。突発的な事故の発生を防げるよう、管理水準を向上させる。このため、概算要求では施設の更新・長寿命化、集約・再編などに取り組む。
防災・減災対策の関連では、豪雨の際に決壊すると周囲に大きな被害をもたらすため池の防災・減災対策の予算が必要だとした。また、被災した場合は、再度の災害を防止するため、従前より耐災害性を高める「改良復旧」を着実に実施する必要があるとした。
提供:建通新聞社