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中央ニュース

2023/08/04

港湾工事のプレキャスト 導入促進へ試行

 国土交通省は、2023年度から港湾工事でプレキャスト工法の導入検討を試行する。導入のメリットを工事ごとに、現場打ちコンクリート工法と比較評価する。このため七つの評価項目を設定し、それぞれVFM(Value for Money)手法を用いて点数化することで、総合的に導入の是非を判断する。比較検討の流れや評価項目、評価視点などのマニュアルをまとめた。
 マニュアルによると、評価項目は、「費用」「省人化・省力化」「出来形・品質確保の容易性」「工期」「維持管理性」「施工への影響」「第三者への影響」―の七つ。これらの評価項目をVFM手法で比較検討し、最高評価点を得た工法を導入することとした(評価項目と主な評価視点は表参照)。ただし、いずれかの工法が明らかに導入有利と考えられる場合は、現場条件などを踏まえ比較検討を省略できることとする。
 プレキャスト工法が明らかに有利な事例としては、▽プレキャスト工法以外では目標時期の完成が困難(災害復旧工事など)▽供給可能な生コンプラントが限られ、打設量に対する供給量の不足が懸念される(防波堤本体工の蓋コンクリート工事など)▽型枠工や鉄筋工、潜水士などの専門技能者の確保が見込めない場合(護岸上部工事など)―などを挙げている。
 マニュアルではこの他、プレキャスト工法導入に際しての設計、施工、維持管理における留意点も記載。例えば、設計では、地盤や土質をはじめ、気象・海象、潮位・潮流の季節変化、港の形状、作業船・機械の稼働状況、プレキャスト製作ヤードの確保といった情報を把握しておく必要があるとした。
 これまで港湾工事では、コンクリート構造物を構築する場合、経済性に優れる現場打ちコンクリート工法を数多く採用してきた。一方で、現場打ちコンクリート工法には、波浪や潮位といった海象条件に工程が大きく左右される上、夜間や休日に干潮帯での作業をせざるを得ないことから、現場管理や労務環境の改善が課題となっていた。
 そこで、あらかじめ背後の作業ヤードや工場でコンクリート部材を製作しておくプレキャスト工法の導入を促進し、現場作業の省力化につなげることとした。経済性もVFM手法により総合的に評価することで担保できるとしている。

提供:建通新聞社