文部科学省は、理系学生の活躍促進に向けたタスクフォースでの検討結果をまとめた。理工系を専攻する学生の割合を現行の35%から、今後5〜10年間で5割にまで引上げるとの政府目標に向けた施策を列挙。理系に進学した場合の就職先などのキャリアパスを早期に提示することや、特に理系の少ない女子学生への働き掛けを強めることを盛った。
国内で理工系学部に進学する割合は、先進諸国の平均と比べて低い水準にある。一方、建設業を含む産業界からは理工系人材の不足を指摘する声が上がっている。文科省はこうした課題を踏まえ、初等教育の段階から理工系の魅力を学生・生徒に伝えたり、大学と産業界との連携を強化するとの方向性を打ち出した。
具体的には、小学校〜高校の段階で、理工系を選択した場合のキャリアパスを提示する。理工系分野の魅力を伝えられる外部人材の活用も盛り込んだ。生徒が進路を選択する際の、無意識の偏りをなくす狙いがある。
デジタル・グリーンなど国が成長分野と位置付ける理工系学部への転換を後押しする、国のNIAD基金を通じた大学への働き掛けも強化する。理工系を選択する女子学生の割合が男子の4分の1程度しかないことを踏まえ、NIAD基金を活用して理工系の女子学生の割合の拡大に成功した大学の取り組みを収集し、好事例を水平展開する。
さらに、卒業生の多様な活躍の場を確保するため、NIADの支援対象学部を卒業した学生が就職・企業した民間企業の情報を可視化する。
博士号を取得しているなど、より高度な人材の産業分野での活用を促進するため、産業界と大学との共同研究をはじめとした相互交流を促進する。優れた人材の育成、活用のモデル事例の収集、普及にも取り組む。
提供:建通新聞社