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2023/08/01

賃金の行き渡り 行政で監視を

 建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)は7月31日、国土交通省との意見交換会を都内で開いた。建専連は技能者の処遇改善に向けて、安定した原資を確保する方策が必要と言及。業行政部局に対して、適正な人件費の行き渡りを監視するよう要望した(大木勇雄副会長)。
 岩田会長は担い手の確保に当たって、「技能者の処遇改善として、他産業以上の給与と週休2日の勤務態勢を示さなければ、若者に見向きもされない」と指摘。持続可能な建設業の実現への取り組みが急がれるとした。
 意見交換では、建専連が▽建設現場の完全週休2日制の導入▽時間外労働の上限規制への対応▽技能者の賃金の5%アップ―などについて要望。「全ての建設業者への建設業許可の取得義務化」も訴えた。
 完全週休2日制については、横山忠則副会長が「体力を消耗する夏場(7〜9月)だけでも試験的に導入することを指導、推奨できないか」とした。
 全国クレーン建設業協会の柴ア祐一会長は、移動式クレーン運転士について、「現状では人手不足のため、時間外労働の上限規制に対応できない。このままでは現場の作業時間を短縮せざるを得ないことを、公共、民間の発注者や、元請けなど関係者に周知を徹底していただきたい」と強く求めた。
 賃上げへは大木副会長が発言。「賃金アップの原資を確保できなければ社員に反映できない」とした上で、「行政として、適正な人件費が行き渡っているかを監視していただきたい」。また、「国以外の公共発注者への周知、民間発注工事での取引の適正化へしっかり対応してほしい」と訴えた。
 建設業許可の取得義務化は、加藤憲利監事(日本塗装工業会会長)が、500万円未満の軽微な建設工事について、「行政からの情報提供・指導が行き届かず、安値競争の中にある」「処遇改善に真面目に取り組んでいる企業が疲弊していく環境となっている」と指摘。適正な競争環境を整備していくために、全ての建設業者に許可取得を義務化するよう求めた。
 国交省は、完全週休2日制の導入に向けて、適正な工期確保が不可欠とした。その上で、新たに工期に特化したモニタリグ調査を実施すると説明。厚生労働省とも連携し、民間発注者も含めて幅広く注意喚起していくとした。さらに、工期に関する設定指針も改正。「重機の組み立てなども工期に含めるようにしているが、さらにどういったことが改善できるか検討していきたい」と応えた。
 賃上げへは、資材価格などコスト上昇分を踏まえた原資の確保、指し値契約の排除につながる取り組みを進めるとした。建設業許可の取得義務化に対しては、「無許可業者にも一定の義務が課される。行政が指導できる仕組みにもなっている。まずはしっかり実態を把握していきたい」と返答した。

提供:建通新聞社