2025年大阪・関西万博の海外パビリオンの建設に向けた手続きが遅れている問題を受けて、加藤勝信厚生労働相は、来年4月から建設業に適用される時間外労働の罰則付き上限規制を万博関連工事を対象に除外するような運用は困難だとの見解を示した。
25年大阪・関西万博を巡っては、関連施設の建設工事で入札不調が相次いでいる他、海外パビリオンでも建設に向けた手続きが遅れている。関連して、万博の運営主体である日本国際博覧会協会が、建設業への時間外労働の上限規制を万博工事で除外するよう政府に要請したとの報道もあり、労働基準法を所管する厚労省の姿勢が注目されていた。
建設業では来年4月以降、月100時間以上の時間外労働・休日労働や、2〜6カ月平均で月80時間を超える時間外労働は違法となる。特例として、災害の復旧・復興工事など、人命に関わるような業務については規制の適用が除外される。加藤厚労相の発言は、こうした運用を万博工事に適用するのは困難であるとの見方を示すものだ。
同日会見した斉藤鉄夫国交相は、万博の海外パビリオン建設について、「円滑な受発注につながるよう建設業界の懸念を(万博を所管する)経済産業省に伝えている」と述べた。具体的には、施工会社の判断に必要な設計の情報を速やかに提供するとともに、時間外労働の上限規制を踏まえた適切な工期・金額設定が基本的な前提になるとした。
提供:建通新聞社