厚生労働省は、水道工事の技術上の管理を担う国家資格「給水装置工事主任技術者」について、更新制の導入を検討する。更新に当たり、講習の受講の義務化も視野に入れる。6月27日に開いた有識者検討会で提案した。
この資格で対象となるのは、配水管から分岐した給水管、止水栓、水道メーター、蛇口までの「給水装置」の工事。建設業者が、自治体などの水道事業者から水道工事を行う指定給水装置工事事業者として指定を受けるには、給水装置工事主任技術者を選任しなくてはならない。資格試験の実施機関である給水工事技術振興財団の推定によると、全国で約14万2000人が選任されているという。
指定給水装置工事事業者制度については、2018年の水道法改正で5年間の更新制が導入された。更新時には、水道事業者による確認が望ましい事項として、給水装置工事主任技術者の研修の受講状況も位置付けられた。
指定給水装置工事事業者の更新制の導入に伴い、21年までの3年間で全事業者の4%に当たる1万事業者が更新せずに指定廃止となった。厚労省では、違反行為件数や処分件数も減少したことから、不適格事業者の排除などに一定の効果が見られたとしている。
その一方で、給水装置工事主任技術者の水道法違反による文書警告、免状の返納命令はおおむね横ばい傾向で発生している。
こうした現状を踏まえて厚労省は、給水装置工事主任技術者への更新制導入とともに、更新時の講習受講を義務化するとの方向性を提示。また、免状の返納命令を受けた者に対し、再受験を課したり、再交付までの期間を延長したりするとの方向性も示した。
委員からは技術者資格への更新制の導入について、おおむね賛同の意見が寄せられた。水道事業者で構成する日本水道協会の青木秀幸理事長は「技術、知識の担保を継続して確認してもらうことが重要だ」と述べ、更新時に制度改正やトラブル事例に関する講習を受講することの重要性を指摘した。
地方でも受講機会が確実に提供されるようにし、技術者数の減少に拍車をかけないよう注文する意見も出た。
提供:建通新聞社