国土交通省は、工期に特化したモニタリング調査を厚生労働省と連携して実施するを盛り込んだ、2023年度の「建設業法令遵守推進本部」の活動方針を固めた。建設業への時間外労働の罰則付き上限規制適用まで残り9カ月となったことを踏まえ、適正な工期の確保に重点を置いて、受発注者への注意喚起を強める。
工期に特化したモニタリング調査は、活動方針の重点項目に位置付ける。国交省職員だけでなく労働基準監督署も同行し、民間工事を中心に実施する。具体的には、工期の見積もり内容の精査や、時間外労働の状況確認などを行う。労基署は、施工者に上限規制の周知や、長時間労働是正の自主的な改善を促すといった役割を担う。
モニタリング調査では、標準見積書の活用や見積もり協議、代金の支払い、資機材の価格高騰を受けた対応の状況なども重点的に調べる。
この他、上限規制適用に備えた対策では、「建設業関係労働時間削減推進協議会(事務局・都道府県労働局)」や、「建設業に対する労働時間等説明会(同・労基署)」へも参画する。中央建設業審議会が作成・勧告した「工期に関する基準」などを建設企業や民間発注者に説明し、工期設定の重要性を理解してもらう。
建設業界では、担い手の確保に向けて、長時間労働の是正や週休2日の定着などの働き方改革を進めているものの、他産業より取り組みが遅れている。改善には適正な工期の確保が欠かせないが、民間工事では発注者から元請け、元請けから下請けへと工期を短くするよう要求され、長時間労働を強いられるケースが少なくない。国交省は厚労省と連携してモニタリングすることで、こうした現状を脱したい考えだ。
本年度の活動方針では盛土に関する項目も追加。建設発生土の搬出先などについて、元請け業者から発注者への説明が義務化されたことなどを周知していくとした。
提供:建通新聞社