土木学会(上田多門会長)は6月6日、「インフラの体力診断」の第3弾を発表した。今回は対象として公園緑地と水インフラ、新幹線の3分野を取り上げた。インフラ体力診断を担当する委員会の家田仁委員長が会見し、「インフラは既に概成したとの議論もあるが、客観的な根拠、諸外国との比較が要るのではないか」と指摘。国民や行政に国内インフラの現状を知ってもらう基礎資料として診断結果を発信していく考えを述べた。
診断結果を見ると、公園緑地については、特に三大都市圏で都市公園の一人当たり面積が国の長期目標の半分にも満たないことを指摘した。また、欧米・アジアの諸都市と比べても一人当たりの公園面積が見劣りするとのデータも提示。維持管理費も減少傾向にある中で、従来の事業手法から、官民連携による整備・管理への転換を提唱した。地域密着型のPark−PFI制度の活用も効果的だとした。
水インフラの体力診断では、上下水道だけでなく農業用水や工業用水など幅広く利水の観点から分析を行った。水資源開発により利用可能な水量はこれまでに大きく拡大。一方、激甚化する自然災害や、老朽化により供給が脅かされる恐れも指摘し、水道をはじめ多くの水インフラの事業主体である自治体の事業基盤の強化が課題になるとした。
新幹線鉄道については、需要をベースとした整備が進んだ国内と、政策主導によるネットワーク形成の動きが見られる欧米とを比較。「都市の将来をどうしていくか」という視点が必要だと総括した。
提供:建通新聞社