国土交通省が都道府県と政令市での工期の余裕期間制度の活用状況を調べたところ、「原則全ての工事で設定している」とした団体は全体の2割未満にとどまることが分かった。同制度を活用すれば、事前に建設資材や労働者確保の準備をより十分に行うことができるため、受注者の円滑な施工体制の確保につながるとされる。国交省では施工時期の平準化のための方策としている。
調査は、全国の都道府県47団体と政令市20団体の全67団体に対して実施した。このうち「原則全ての工事で設定している」と回答した団体は13団体で全体の19・4%にとどまった。一方で、「一部の工事で設定している」とした団体は50団体に及んだ。一部の工事で設定している場合は、▽工期を延長することで他に影響が出ない工事▽発注者が指定する工事▽年度内に終了できる工事▽不調・不落の解消に資する工事▽契約期間に余裕がある工事▽一定金額・一定規模以上の工事▽一般競争入札工事▽積雪の時期に重ならない工事▽余裕期間を一定割合・期間以下に設定できる工事▽三者技術検討会を設置する工事ーなどを対象としていた。
余裕期間を未活用と回答のは4団体だった。
活用団体(63団体)が採用している余裕期間を方式別に見ると、余裕期間内で工期の始期を発注者があらかじめ指定する「発注者指定方式」を38団体、受注者が工事の開始日を余裕期間内で選択できる「任意着手方式」を46団体、受注者が工事の始期と終期を全体工期内で選択できる「フレックス方式」を18団体が採用していた=グラフ参照。
国交省の直轄工事では、全ての地方整備局などで原則全ての工事を対象に、余裕期間制度を活用している。都道府県・政令市に対してブロック監理課長等会議などを通じて一層の活用を促していく。
提供:建通新聞社