国土交通省の民間工事に関する実態調査で、発注者が提案する工期に合わせた場合、大半の現場で週休2日の確保が困難になる実態が分かった。工期を最初に提案するのは発注者(施主、下請けから見た元請けを含む)が85%を占めており、そこで提示された工期に基づいて4週8休を確保できると回答した建設会社は14%にとどまった。最も多い35%を占めたのは「4週4閉所」。週休2日の確保には発注者の理解が欠かせない実態が改めて浮き彫りになった。
発注者の提案を「妥当な工期」と評価した受注者は59%。「短い」「著しく短い」の合計は39%だった。さらに、「妥当」と回答した受注者でも「4週6閉所」が37%を占めており、国交省は「受注者側の意識改革も必要」と見ている。
最終的な工期の設定では発注者の意向を優先し、「協議は依頼しない」との回答が22%、「協議は依頼しても応じてもらえない」との回答も13%あった。下請けが主な建設会社では協議を依頼しない傾向が強いことも分かった。
発注者との協議後の工期については「妥当」との回答が69%を占めた。それでも現場閉所率は「4週6休」が32%で最多となるなど、課題も多い結果となった。国交省は適切な協議を促し、特に民間・建築工事で週休2日をさらに拡大させる必要があると分析した。
■残業100時間超、技術者に多く
短い工期への対応は、「作業員の増員」「休日出勤」「早出・残業」の順に多かった。作業員を手配できないと休日出勤や残業が増えると見られ、担い手不足が深刻化すればさらなる長時間労働も懸念される。
また、今回の調査では初めて技術者・技能者別に残業実態を質問。従業員の月当たりの残業時間が最大100時間超の建設会社は、技術者の場合で7%、技能者の場合で2%あった。特に完工高50億円以上の建設会社では100時間超が19%にもなった。来年4月に残業時間の罰則付き上限規制が適用されると、こうした場合は罰則の対象になるが、長時間労働の改善はいまだ不十分な状態だ。
2022年1月以降に請け負った工事について、今年1月に調査を実施し、建設会社2182社から回答を得た。
提供:建通新聞社