建設物価調査会がまとめた民間企業設備投資動向調査(2023年3月調査)によると、4〜6月期に民間企業が計画していた建設投資は前年同期比5・9%増となった。中でも資本金1億〜10億円の企業で122・0%増と大きく投資を伸ばす傾向にあった。資本金10億円以上の企業では製造業が2桁減となったこともあり、全体で5・0%の減少を見込んだ。
建設投資を産業別に見ると、製造業が17・3%減となった。織物関連工場の新設などで生活関連型・その他産業が602・7%増と大きく増加したが、基礎素材型産業と加工組立型産業がともに2桁減となり、全体減となった。非製造業は小売店舗やホテルの需要が拡大傾向で、全体で10・4%の増加を見込んだ。
投資区分別では、非住宅で事務所・店舗が24・8%減と投資が減少する一方、工場・倉庫が4・4%増、その他の建築物が293・9%増と大きく伸びた。住宅は68・6%増と2桁増の見込み。
また、民間企業設備投資動向調査に合わせて「設備投資マインド調査」も実施した。全体として投資意欲が改善されつつあるものの、世界情勢や資材の入手難の影響から投資時期を後倒しする企業が増えていた。
建設投資の動向を示す指数(建設投資意欲判断D.I.)を見ると、先行き3カ月の見通しとして、投資に前向きな企業の割合が3月より全産業で2・5ポイント増加。一方で、投資時期を後倒しする企業の割合が、前倒しする企業より、9・5ポイントも多かった。
人件費や原材料費・エネルギーコストの上昇などが各社の事業展開や財務状況に影響を及ぼし、投資時期の後倒しにつながっているようだ。
両調査は、資本金1億円以上の民間企業4355社を対象にアンケートを実施した。調査時点は3月1日。回答率は23・2%。
提供:建通新聞社