国土交通省は、今後の土地政策の在り方に関する課題と論点の整理に向け、関係省庁に対するヒアリングと有識者によるプレゼンテーションを進めている。5月15日に国土審議会土地政策分科会の企画部会を開き、所有者不明農地など土地に関連した法制度の改正状況について関係省庁から報告を受けた。次回会合で有識者委員による最終のプレゼンテーションを行い、課題と論点の整理に着手する。2023年度末の取りまとめを目指す。
所有者不明農地は、相続未登記農地とその恐れのある農地とされる。全農地の約2割を占めており、多数に及ぶ相続人の探索に多大なコストを要し、地域での担い手の集積・集約化が進まないといった問題につながっているという。
会合には、農林水産省の担当者が出席。4月1日に施行された「改正農地中間管理事業推進法」などを紹介し、所有者不明農地であっても、全ての相続人を調べることなく、簡易な手続きで最長40年の間借りが可能になったことなどを説明した。
法務省の担当者は、土地・建物の利用制度などを見直した「民法等一部改正法及び相続土地国庫帰属法」を巡る取り組みの現状と展開を説明した。
会合ではこの他、有識者委員によるプレゼンテーションを行った。大和ハウス工業常務執行役員の浦川竜哉委員が「公民連携による地域における民間建築物の防災拠点化および防災協定の促進」、日本測量協会会長の清水英範委員が「土地政策に関する広報・情報提供における各省連携」について意見を述べた。
国交省では、今後の土地政策の在り方を幅広く検討するため、昨夏から、他省庁の関係法令や取り組みについてのヒアリングと、有識者委員によるプレゼンテーションを行っている。
提供:建通新聞社