日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、5月15日からスタートする地方整備局などとの意見交換会で、新技術・新工法の活用による生産性向上に関して、現場施工でのCIMの活用に必要な3次元モデルの設計段階での構築を要望する。プレキャスト工法についても、設計段階での採用検討の義務化を提案する。
国土交通省は、2023年度から直轄工事でBIM/CIMの活用を原則化している。日建建が22年秋に会員を対象に行ったアンケートでは、国交省の道路・河川工事でのCIMの活用率は57%に上り、機構・事業団や地方自治体などを含めた全体でも37%で活用されていた。
活用が拡大するCIMに関して日建連は今回の意見交換会で、「現場施工に必要な3次元モデルの設計段階での構築と発注者による精査」や「CIM対応に伴う人経費や、設備機器など導入経費の契約額への反映」を求める。
また、現状では約8割の現場で、受注者がCIMモデルの大半を作成している。活用効果の向上に向け、発注者による設計段階での、活用目的に合ったCIMモデルの作成を提案する。
一方、プレキャスト工法については、当初設計から同工法が導入された現場は国交省の道路・河川工事においても22件しかなかった。「施工段階での設計変更では、協議の手間など受発注者双方に負担が生じる」とし、設計段階での採用検討の義務化を求める。
さらに、北陸地整と近畿地整で検討しているプレキャスト工法採用の評価指標やマニュアルについて、全ての地方整備局などへの導入を提案する。
新技術・新工法の活用ではこのほか、四国地整が導入している、契約後の受発注者協議で新技術の導入を検討し、必要経費を発注者が負担する「地域の建設業に向けたインフラDXモデル工事(一般土木Cランク)」の拡大・拡充と、同様な取り組みの各地方整備局などへの拡大を働き掛ける。さらに、工事の契約後に新技術などを受注者提案で導入する新たな仕組みの構築を求める。
また、CIMや遠隔臨場などICTの活用やDXなどに必要な通信環境の整備は、全体の約7割の現場で受注者が費用を負担している。現地の条件を考慮した、費用負担を含む協議の実施を特記仕様書などで明示することを要望する。
提供:建通新聞社