総務省は、災害時に緊急車両の通行ルートを確保する「道路啓開」の実効性向上に向けた勧告を国土交通省に行った。道路管理者に対し、啓開作業を担う協定企業が確保できる人員・資機材量を把握し、必要に応じて対応策を講じるよう促す必要があるとした。
道路啓開は、地震などの発生時に緊急車両が通行できるよう、道路上のがれきの撤去や、放置された車両の移動を行う。多くの場合、地域ごとに道路管理者が建設事業者など民間と協定を締結し、災害時に連携して行う作業内容を定めている。東日本大震災では通行確保に大きな役割を果たした一方、特定の民間事業者に作業要請が集中するなどの課題もあったという。
総務省では2021年9月から約1年半にわたり、国交省の5地方整備局と8都道府県、16市区町村、8民間団体を対象とした実態調査を実施。その結果、全体の約3割の行政機関で協定締結先の事業者が車両の移動作業をできるのか事前に確認していないことが分かった。また、約4割の機関では、協定締結先の事業者が災害時に提供可能な人員・資機材量に関する報告を求めていなかった。5割強の機関では、他の道路管理者との協定の重複を把握していなかったという。
こうした現状を踏まえ総務省は、各道路管理者に対して協定締結先の人員・資機材量などの把握を促すよう国交省に求めた。このため、各地方整備局が中心となり、管内の道路管理者が参加する協議会などの場を活用する必要があるとした。
また、調査対象となった道路管理者のうち、新潟県や福井県などでは道路啓開計画が未策定となっていた。総務省は、地方整備局と道路管理者の協議会などを設置し、計画策定を促していくよう求めた。
提供:建通新聞社