厚生労働省は、個人事業者が健康診断を受診するのに必要な費用を安全衛生経費に位置付け、請負契約の中で確保する案を、4月21日に開いた、個人事業者の安全衛生対策に関する有識者会議で事務局案として提示した。具体化すれば、ガイドラインなどにまとめ、個人事業者に業務を請け負わせる事業者に配慮を促すかたちになる。
事業者には、一定の有害な業務に従事する労働者に対し、作業内容に応じた「特殊健康診断」を受診させなくてはならない。一人親方などの個人事業者は労働者ではないが、仕事を請け負わせる場合に安全衛生上の配慮が法で求められることから、特殊健診を要する業務についてはその分の費用を安衛経費に位置付けるとの方向性を示した。
例えば、アーク溶接やトンネル工事など「じん肺」の恐れがある現場や、防水・塗装など有機溶剤の使用、石綿含有建材の解体・撤去作業などが特殊健診を要する業務に該当する。
契約期間が1年を超えるような請負契約や、繰り返し同じ事業者と契約する場合は一般健診費用についても安衛経費に位置付けることが望ましいとし、ガイドラインへ盛り込むとの方向性も示した。ただし、40歳以上の個人事業者は高齢者医療確保法に基づき無料で受診できるため、安衛経費には盛り込まないとした。
また、長時間の就業による健康障害の防止策についても厚労省が案を提示した。個人事業者の安全衛生を損なう長時間の就業とならないよう、期日の設定に配慮を求めるとしている。
提供:建通新聞社