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中央ニュース

2023/04/19

元方事業者の現場巡視 遠隔化へ現場試行

 建設業労働災害防止協会(建災防、今井雅則会長)は、特定元方事業者の現場巡視をICTで遠隔化する取り組みの試行結果をまとめた。移動時間削減などのメリットが確認できた一方で、現場での直接確認と比べて得られる情報が制限されるなどの課題も見つかったという。検討結果は厚生労働省に伝え、遠隔巡視を認める運用の整備に活用する。
 労働安全衛生法では、特定元方事業者に対して作業日ごとに1回以上、現場を巡視することを求めている。アナログな規制を見直す政府方針を踏まえ、厚労省が建災防に遠隔巡視の現場試行と結果の分析を要請した。
 現場での試行は2022年12月〜23年1月にかけて5回にわたって行った。ウエアラブルカメラを装着した人が現場を巡視し、音声・動画のリアルタイム配信サービスを介して特定元方事業者が遠隔から確認する形で行った。
 その結果、特定元方事業者の移動時間短縮や、巡視状況をデータで記録できるといったメリットが分かった。一方、現場と遠隔で共有できるのは映像・音声のみとなるため、現場の匂いをはじめ五感を用いた状況確認が困難になると指摘する意見も寄せられた。また、即時の指示など円滑なコミュニケーションが難しいといった意見もあった。
 今後は死角のない360度カメラの活用も検討。遠隔巡視で現場を把握できる手段、機器などの要件を整理していく。

提供:建通新聞社