建設経済研究所と経済調査会は、2023年度の建設投資(名目値)を前年度比2・6%増の68兆4300億円とする見通しをまとめた。コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進み、景気が持ち直しており、前年度を上回ると予測した。ただ、建設コストの上昇などによる影響で民間住宅の着工戸数が減少している現状などを踏まえ、1月推計より、1兆4700億円ほど下方修正した形だ。
建設投資のうち、政府建設投資は名目で2・3%増の23兆9400億円と推計。実質ベースでは、物価上昇の落ち着きが見込まれることを踏まえ、前年度比1・5%増の19兆9393億円と予測した。国の直轄・補助事業については、「防災、減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策」などを考慮し、公共事業関係費を前年度当初予算並みと想定。地方単独事業費も総務省の「23年度地方財政対策の概要」を踏まえ、前年度並みとした。
政府建築補修(改装・改修)は9・3%増の1兆7700億円を見込んだ。
民間建設投資は、住宅・非住宅ともに微増と予測し、全体で2・8%増の44兆4900億円になるとした。このうち住宅の建設投資は1・1%増の16兆3200億円と推計したものの、建設コストの高止まりや住宅ローン金利の上昇に対する懸念から先行き不透明感が続き、持ち家、貸家、分譲マンションの着工戸数はいずれもやや減少すると見通した。
非住宅の建設投資は、0・9%増の19兆1900億円と推計。工場やデータセンターなど、引き続き、企業による設備投資の持ち直しが見られることから、名目、実質ともに前年度と同水準になると予測した。
民間建築補修投資は10・6%増の8兆9800億円を見込む。
民間土木は、発電用投資の受注額に回復が見られ、鉄道工事も堅調に推移している。電線路工事は伸び悩みの傾向が見られるとした。
提供:建通新聞社