国土交通省と厚生労働省は、建設技能者の安全と健康を確保するための基本計画(職人基本計画)の変更案をまとめた。計画策定から5年が経過し、気候変動や新型コロナウイルス感染症などの影響、女性や外国人、高齢者など人材の多様化といった社会情勢の変化を反映する。今後、パブリックコメント、閣議決定を経て、新たな基本計画とする。2月21日に有識者や建設業団体による「建設工事従事者安全健康確保推進専門会議」を開いた。
基本計画は、2016年に成立した建設職人基本法に基づき、17年に策定した。安全衛生経費の確実な支払いや墜落・転落災害の防止対策などの具体策を盛り込んでいる。
変更案では、新たに「健康確保対策の強化」と「人材の多様化に対応した建設現場の安全健康確保、職場環境改善」の二つの項目を設定した。
このうち健康確保対策の強化では、熱中症対策やアスベストばく露防止対策などで取り組むべきことを明記した。厚労省によると、アスベストを含む可能性がある建築物の解体工事は30年ごろにピークを迎えるという。
人材の多様化については、女性の活躍促進、増加する外国人労働者の労働災害への対応、高齢労働者の安全・健康の確保に向けた具体策を盛り込んだ。変更案の検討に際して建設業団体からは、「担い手確保につながる取り組みをしっかり書き込んでほしい」といった意見も出ていた。
変更案ではこの他、働き方改革の推進に向けて、新・担い手3法の趣旨を踏まえることや、インフラ分野のDX推進、一側足場の使用範囲の明確化、墜落・転落防止対策の充実強化なども既設項目に追記した。
建設職人基本法では、5年ごとの基本計画の見直しを規定しており、昨年6月で策定から5年が経過した。
提供:建通新聞社