国土交通省は、3月1日から適用する公共工事設計労務単価を発表した。全国全職種平均の単価は前年度比5・2%増の2万2227円(伸び率は単純平均、金額は加重平均)と単価算出手法の見直し以降3番目に高い伸び率となり、11年連続で上昇。金額は初の2万2000円台に乗り5年連続で最高額を更新した。
今回は、これまでも加味してきた個人負担に必要な法定福利費相当額や有給休暇取得に要する費用、時間外労働時間を短縮するために必要な費用(生産性向上の取り組みなど)に加え、元請け企業から技能者に直接支給している手当も新たに反映した。単価算出手法を大幅に見直した13年度から11年連続で上昇し、12年度の単価と比べると65・5%増となった。
労働者数の多い主要12職種については前年度比5・0%増の2万0822円。伸び率は交通誘導警備員Aが7・1%増と最も高く、交通誘導警備員Bと軽作業員が6・3%増で続いた。鉄筋工の3・6%増が最少だった。
労務単価は、公共工事の現場に従事する技能者の賃金について、市場の実勢価格を反映して定めたもの。47都道府県・51職種別に設定している。国交省などで調査し、集計結果を踏まえ毎年改定している。
1997年度に初めて公表して以降、公共投資額の減少やダンピングの横行などで2011年度まで下落し続け、全国全職種平均の単価は1万3047円まで落ち込んだ。12年度に単価算出手法を大幅に見直したのをきっかけに単価が上昇に転じ、現在まで上がり続けている。
今回はコロナ禍の影響でマイナスとなった単価を前年度の単価に据え置く特別措置や、東日本大震災の被災地で単価を上乗せする特例は適用していない。新単価は3月1日以降に契約する国交省・農林水産省の直轄工事に適用する。
高い伸び率となった要因について国交省は、安定的な公共事業予算の確保や適正価格での発注、ダンピング対策、総合評価落札方式での賃上げ加点などが実を結び、建設業界での賃上げが進んだ結果と見ている。引き続き、官民一体となって賃上げの機運醸成に取り組んでいくとした。
提供:建通新聞社