厚生労働省は、足場からの墜落・転落災害の防止対策を強化する。労働安全衛生規則で求められている足場点検の実効性を高めるため、点検の実施者をあらかじめ指名することを義務付ける。2月13日に開いた労働政策審議会安全衛生分科会に安衛則を改正する省令案を諮問し、妥当と認められた。3月に公布する。
現行の安衛則でも、足場作業を実施するときは毎日、作業開始前に墜落防止設備の脱落の有無などを点検することを事業者の義務としている。また、悪天候や地震、足場の組み立て後には注文者にも点検を求めている。しかし、実際には安全点検が行われず、結果として墜落・転落災害に至る事例が散見されていた。
改正省令案では、必要な点検に先立ち、事業者や注文者が点検者を指名することを義務化。さらに、悪天候や地震、足場の組み立て後の点検で記録を求める内容として、点検者の氏名を規定する。
これらの規定は10月1日までに施行する。
さらに、狭あいな現場で使用されている一側足場で墜落・転落災害が発生していることを踏まえ、幅が1b以上の場所では本足場の使用を義務化する。ただし、つり足場を使用する場合や、障害物などで本足場の使用が困難な場所では一側足場を使うことも認める。
分科会の委員からは、幅1b未満の場所でもなるべく本足場を使用するよう周知を求める意見が出た。
一側足場に関する規定は2024年4月1日までに施行する。
省令案は、18年から開催してきた「建設業の墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合」の議論を踏まえてまとめた。
提供:建通新聞社