地方自治体などの公共工事で、国土交通省が推奨するピュア型CM(コンストラクション・マネジメント)方式の活用が広がっている。国交省が関係団体を通じて調査したところ、2021年度末までに建築、土木で520件の活用実績があった。近年、増加傾向となっている。CMR(コンストラクション・マネジャー)が発注者に代わって、発注にかかわるマネジメント業務を行うため、技術者が不足している小規模な自治体などで有効とされる。
活用実績を地域別に見ると、北海道・東北、関東、近畿で全体の8割を占めた。事業別では、建築が東京都や大阪府などの都市部で、土木が福島県、宮城県などの東北で多かった。
■建築の活用 関東が最多
建築事業の活用実績は全340件。地域別では関東が最も多く全体の44%を占めた。近畿は21%。人口規模別では10万〜50万人の中核市が全体の39%で最多となった。10万人未満の自治体での活用実績は3割、建築職員数10人以下の自治体が2割を占めた。
ピュア型CM方式は、14年度の品確法改正で多様な入札契約方式の一つに位置付けられたこともあり、法改正以降、導入実績が増加傾向で推移している=グラフ1参照。
施設用途は学校、庁舎、病院の3用途で全体の6割を占める。発注者別では、市区町村での導入が51%と最も多く、その他の公的機関(学校法人、病院機構など)、都道府県、政令市が続いた。
■土木は新設・維持にも広がり
一方、土木事業の活用実績は全180件となった。福島、宮城、岩手の3県での活用実績が多く、東北で全体の約8割を占めた。災害復旧事業での導入が過半数となった。近年は新設・維持、その他(造成、港湾、公園、基地など)での活用も増えつつある。建築と同様に、品確法改正以降に導入実績が増加している=グラフ2参照。。
実態調査は、22年6月と12月に実施。建築事業を日本CM協会、土木事業を建設コンサルタンツ協会の会員にアンケートした。アンケートには建築事業で21社、土木事業で26社が回答した。
国交省の担当者は、技術職員の少ない自治体に対して、ブロック監理課長等会議などで積極的な活用を促していくとしている。
提供:建通新聞社