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中央ニュース

2023/01/17

維持修繕の将来像 契約期間を長期化へ

 国土交通省は、直轄の維持修繕工事のあるべき姿を将来像(案)としてまとめた。複数年度にまたがる維持修繕工事について、契約期間をさらに長期化する考え方などを盛り込んだ。老朽化が進むインフラ施設について、将来にわたり必要な機能を維持していくために、維持修繕工事に携わる建設企業の経営の見通しを立てやすくする狙いがある。1月16日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の第1回維持管理部会で提示し、議論を始めた。
 直轄の維持修繕工事は、単年度契約が全体の3割、2カ年の複数年度契約が7割を占める。3年を超える案件はほぼない。複数年度で契約した場合、受発注者双方で手続きの負担を軽減できる他、同じ技術者が長期に担当するため、緻密な維持修繕につながるといったメリットがある。
 現在2カ年となっている契約期間を、さらに長期化することで、地元企業が中長期的に受注を見通せるようにもなる。経営の安定につながるだけでなく、若手の採用、資機材の保有、新技術の活用に、より積極的に取り組めるようになる。
 将来像案ではこの他、不調・不落対策として効果が高いとされるフレームワーク方式(指名競争)による発注の拡大や、企業グループによる受注の拡大などを検討・試行すべき取り組みと位置付けた=表参照。
 国交省によると、所管インフラの維持管理・更新費が40年代中ごろには18年度比で最大1・7倍となる7・1兆円まで膨らむという。一方で、少子高齢化による担い手不足や、事業承継の問題から、特に地方部で、維持修繕工事に携わる企業数や必要な技術力の維持が厳しくなる見通しもある。将来にわたり地域のインフラを維持していくため、発注方式や受注体制を含めたより効果的な建設生産・管理システムの在り方を探る。

提供:建通新聞社