公正取引委員会の「優越Gメン」が2022年に行った緊急調査により、総合工事業で労務費や原材料費、エネルギーコストの上昇分の価格転嫁が滞っている恐れがあることが分かった。総合工事業が発注者の立場となる場合、下請けや建材業者などから取引価格の引き上げを「要請された」という割合は87・1%だった。一方で受注者として施主や元請けに引き上げを「要請した」割合は53・5%にとどまり、下請けなどから要請されるほどには元請けなどに価格転嫁できていない実態が浮き彫りになった。
商慣習に照らして不当な「優越的地位の濫用」の実態を把握するため、コスト上昇分の転嫁拒否が疑われる22業種の調査結果をまとめた。総合工事業は受注者側で1805社、発注者側で1102社が回答した。
総合工事業は、発注者側で価格引き上げを「要請された」割合の方が、受注者側で価格引き上げを「要請した」割合よりも33・7ポイント高かった。この差は全業種で最大だった。
総合工事業で価格引き上げの要請があった場合に、実際に「全て引き上げ(られ)た」割合は、受注者側で62・9%、発注者側で74・4%。要請があった場合は、転嫁が一定程度進んだものと見られる。
公取委は調査結果を踏まえ、価格転嫁の拒否が見られたとして、総合工事業では延べ149件の注意喚起文書を送付した。
提供:建通新聞社