斉藤鉄夫国土交通大臣は、建設専門紙の共同インタビューに応じ、自然災害に屈しない国土づくりを目指し、「継続的、安定的に国土強靱(きょうじん)化に取り組んでいく」などと、2023年の抱負を語った。インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)によるインフラ変革を加速させる「躍進の年」と位置付けた。
―激甚化・頻発化する自然災害に対して、国土強靱化や老朽化するインフラ対策が急がれます。
「自然災害に屈しない国土づくりを進めるために、社会資本整備の役割が重要になっている。22年度補正予算と23年度当初予算案で強靱化に必要な予算を盛り込んだ。『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』後も継続的・安定的に強靱化を進める必要がある。国土強靱化基本計画の改定に向けた議論に積極的に参画していく」
「老朽インフラのメンテナンスは、『事後保全型』から『予防保全型』に本格転換する。特に、財源や人的資源の制約が大きい小規模な地方自治体に対する支援が重要だ。社会資本整備審議会で提言いただいた『地域インフラ群再生戦略マネジメント』に全力で取り組む」
―建設業への時間外労働の上限規制適用まで1年3カ月を切りました。
「実効性のある働き方改革の推進が急務だ。建設プロセス全体でのICT活用などによる生産性向上に取り組んでいく。工期の適正化を通じた週休2日の実現にも力を注ぐ」
―少子高齢化への対応では、担い手の確保・育成に向けた取り組みが待ったなしです。
「賃金水準の引き上げや建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及促進による技能者の処遇改善が急がれる。昨年は、公共工事設計労務単価を10年連続で引き上げた。昨秋の建設業4団体トップとの意見交換会では『おおむね3%の賃金上昇の実現に向けて、官民一体となって取り組んでいくこと』も再確認した」
「CCUSは、昨年10月末に登録技能者が100万人を超えた。今後、登録技能者の処遇改善を着実に進めるため、技能・経験に応じて職種とレベル別の賃金目安を示し、技能者の賃金上昇を後押しする。建設業が新3K『給与がよく、休暇が取れ、希望が持てる』の魅力的な産業となるよう取り組んでいく」
―資材価格高騰への対応では、円滑な公共事業の執行や必要な事業量の確保が重要になります。
「直轄工事では、最新単価の予定価格への反映、適正な工期の設定、スライド条項の適切な運用など契約後の状況に応じた契約変更に取り組んでいる。地方自治体、関係省庁にも、建設資材価格の高騰を反映した請負代金や工期の設定を促していく」
―カーボンニュートラルの実現や、インフラDXの取り組みについては、どのように展開していきますか。
「インフラ分野の脱炭素化に向けて、CO2削減につながる建設材料や建設機械、施工方法の導入を進めていく。直轄工事ではグリーンイノベーション基金を活用した、建設材料による温室効果ガス削減の現場試行を行う」
「インフラDXでは4月から直轄土木工事・設計でBIM/CIMの原則適用を始める。23年をDXによるインフラ変革を一層加速させる『躍進の年』と位置づけ、建設業界の皆さまと連携して取り組みを進めていく」
提供:建通新聞社