国土交通省は、政府の2023年度当初予算案に公共事業費として前年度(5兆2480億円)と比べ微増となる5兆2502億円(国費ベース)を計上した。頻発・激甚化する自然災害に備え、流域治水の本格的実践や持続可能なインフラメンテナンスの実現などに取り組む。「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策」の計画的な事業執行に向けては、工期3年以上の工事が対象となる事業加速化円滑化国債で931億円を設定した。非公共事業を含めた省全体の予算は5兆8714億円となった(事項別の内訳は表参照)。
23年度当初予算の重点項目では、▽国民の安全・安心の確保▽経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大▽豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり―の三つを設定した。
昨年に全面施行した流域治水関連法を踏まえた流域治水の本格的実践に向けては5406億円を配分。中小河川を含めた洪水氾濫を防ぐための抜本的な治水対策や、浸水被害地域での再度災害防止対策、雨水貯留浸透施設の整備などに加え、水害リスクを踏まえた安全なまちづくりや水害リスク情報の充実を進める。都道府県の流域水害対策計画策定を支援する補助制度も新たに創設する。
インフラの老朽化対策には7388億円を配分。予防保全への本格転換、新技術を活用した効率化などを通じて持続可能なインフラメンテナンスの実現を目指す。
災害時の物流・人流確保に向けては4610億円を投じ、高規格道路のミッシングリンク解消や4車線化、ダブルネットワーク化など、交通ネットワークの機能強化に取り組む。
土砂災害対策には966億円を計上し、砂防施設の整備強化や被災する可能性の高い住宅の安全性確保などハード・ソフト一体となった対策を実施する。
地方の老朽化対策や防災・減災を支援する防災・安全交付金には8313億円を充当する。
GX推進では、ZEH・ZEBの普及や木材活用、住宅・建築物の省エネ対策強化などに980億円、港湾分野の脱炭素化となるカーボンニュートラルポートの形成に427億円を盛り込んだ。
DX推進では、公共工事でのBIM/CIMの活用拡大、5Gを活用した無人化施工の現場実装、都市分野のデジタルインフラ「PLATEAU(プラトー)」の活用拡大、行政手続きのオンライン化などに取り組む。
建設業の働き方改革の推進では、建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入促進に向けて全国で説明会を実施する。
提供:建通新聞社