国土交通省は、ICT施工によって「作業の効率化」「工事全体の効率化」「現場全体の効率化」の3段階で、現場の効率化を実現する方向性を打ち出した。工種単位で作業の効率化に取り組んでいる現状を第1段階として、ICT施工の経験を一定積んだ先駆的な建設企業に対して、工事全体での効率化を目指す第2段階へのステップアップを促していく。第2段階では建機の稼働状況などのデータを同一工事内で横断的に活用、分析することで、より効果的な現場の生産性向上につなげる。具体策は建設業団体の意見を踏まえ、有識者会議で決める。
現状は、第1段階に該当し、土工や法面工、路盤工といった工種単位でドローンやマシンガイダンス、マシンコントロールを活用し、それぞれの起工測量や敷均し作業を効率化している。
第2段階では、作業ごとに把握している建機などの稼働状況や行動履歴といったデータを、現場全体で活用、分析できる仕組みを設ける。例えば、建機の稼働状況データを「見える化」し、監理技術者などが効率化のボトルネックになっている作業を一元的に把握できるようにすることで、工事全体の施工計画を適時、最適化していけるようにする。
国交省の担当者は、「最良な工程を考える現場技術者をサポートする取り組みであり、経験の浅い者でもベテランに近い判断が下せるようになる」といった効果も期待していると言う。
第3段階では、同一現場内にある複数の工事間にも取り組みを広げ、さらに広範囲の効率化を目指す。将来的には、施工計画を自動で生成できる人工知能(AI)や次世代建機による自動施工の活用も想定する。これに備え建機の遠隔化や自動化に向けた制度整備、技術開発も進める。
提供:建通新聞社