国土交通省は、地方整備局で行っている総合評価落札方式の各種試行を7タイプに分類し、「本運用」「全国的な試行」「地方整備局での試行」のいずれかに位置付ける。地整ごとに取り組んできたさまざまな試行を類型化し全体的に捉え直すことで、より効果的な制度改善につなげる。これに伴い総合評価の運用ガイドラインを改正する。12月15日に有識者による懇談会を開き、改正方針案を提示した。
改正方針案では、本運用、全国試行、地整試行の考え方や、各地整でPDCAサイクルによる試行効果の検証を行うことを記載した。一つの試行タイプにつき5年ごとにPDCAによる検証を行うことも明記。各地整で検証した試行は、有識者の意見を踏まえ、必要に応じて本運用や全国試行への移行を本省で判断していくこととした。
現在、各地整で試行し一定程度の実績がある総合評価は全8タイプある。類型化に当たっては、8タイプのうち、直轄実績のない企業の新規参入を促す「チャレンジ型」と「自治体実績評価型」の2タイプを「新規参入促進型」にまとめ、全7タイプとする=表参照。
新規参入促進型については、過去5年間の実績件数(チャレンジ型と自治体実績評価型)が5000件を超えるとともに全地整で試行し、新規参入の効果も見られることから、本運用としていく。
残る6タイプのうち、地元下請け企業の育成を狙った「地元企業活用審査型」と、下請けに入る専門工事業者や配置技術者の実績を評価する「特定専門工事審査型」の2タイプは、全国的な試行を継続する。
災害活動実績や建設機械の保有を評価する「地域防災担い手確保型等」、技術者の能力評価などを省略する「企業能力評価型等」、優秀な技能者の配置を加点する「登録基幹技能者評価型等」、将来の担い手確保を狙った「若手・女性技術者活用型等」の4タイプは、地整ごとに試行中だが、実績を踏まえ、全国的な試行に新たに位置付ける。
試行の制度改善や統廃合は、地整ごとで運用ガイドラインを定め、試行の効果や課題の有無をフォローアップし、標準化や継続調査、見直し、廃止を行ってきた。PDCAによる検証を導入し、制度改善につなげてきた地整もある。こうした取り組みを体系化し本省の運用ガイドラインに反映する。
改正方針案では、総合評価の評価項目の概念も整理し、賃上げ実施企業への加点やワークライフバランス(WLB)推進認定企業への加点措置なども新たに記載する。23年1〜2月に改正作業を進め、本年度中の改正を目指す。
提供:建通新聞社