2022/12/06
全国中小建設業協会・ブロック別意見交換会(6)四国
全国中小建設業協会(土志田領司会長)の四国ブロック意見交換会が12月2日、高知市内で開かれ、時間外労働の上限規制の2024年度の適用に当たっての課題を中心に、国土交通省、同省四国地方整備局と意見を交わした。香川県中小建設業協会(香中建、金本健司会長)と高知県中小建設業協会(高中建、國藤浩史会長)が、発注・施工の平準化や適正工期の順守を求めたのに対し、国交省側は市町村の取り組みの遅れを認めた上で「都道府県と連携し管内市町村の入札契約制度を見直していくモデル事業を23年度に実施しようと考えている」ことを明らかにした。
香中建は、主要職種の公共工事設計労務費単価の推移を、最低賃金の推移と比較しつつ提示し、労務単価の上昇率は最低賃金と比べ高い水準ではないと指摘。合わせて、時間外労働の上限規制の適用に際し、労務費や機械経費(賃料)、共通仮設費率、現場管理費率に設定されている週休2日の補正係数がなくなることを危惧し、「設計労務単価をさらに引き上げることが必要」だと強調した。
国交省側は、「労務単価は10年連続で上昇し、この間に全職種平均で57%増加したが、年間賃金総支給額については労務単価ほどの伸びはなく、依然として全産業を下回っている」と説明。「労務単価を最低賃金と比較していないが、その視点から見れば、まだまだ改善の余地がある」との見方を示した。
ただ、労務単価は労務費調査に基づいて設定しているため「引き上げを賃上げに反映し、その循環を続けることが重要。新型コロナウイルス感染症の影響なども踏まえ、新年度に適用する単価を決めていくことになる」と述べるにとどめた。
週休2日の補正係数に関しては、「現段階で廃止するか決まっていない。補正係数を設けるよう求める声も届いており、業界の意見も踏まえつつ対応を検討していく」と答えた。
高中建は、週休2日を実現できない現場では時間外労働を月45時間以内に収めるのは困難だと指摘。発注者側の“不安定要素”を取り除くべきだととして「発注・施工の平準化や適正工期、適正金額の順守、適正な設計図書の整備、工事担当者の認識・理解の徹底」が必要だと訴えた。
国交省側は、週休2日に関する取り組みについて「都道府県ではその必要性に対する認識が高まってきた一方、市町村ではそもそも週休2日を前提に工事を発注していない、あるいは週休2日を考慮した工期設定をしていないなど、いまだ認識が低いのが実情」だと説明。23年度予算で市町村の入札契約制度を見直すモデル事業を考えているとした。
また、国や自治体、特殊法人などで構成する四国地方公共工事品質確保推進協議会として、四国の公共工事の現場で第2土曜日を一斉休業日とする取り組みを本年度に開始しており、「引き続き市町村とも連携しながら平準化や適正工期の設定に努めるとともに、管内の市町村については24年度までに設計変更ガイドラインを策定することを目指している」と答えた。(地方建設専門紙の会・建通新聞社)