全国建設労働組合総連合(全建総連)と建設経済研究所が9〜10月に一人親方を対象として行ったアンケートで、インボイス制度の導入をきっかけとして回答者の約1割が「事業をやめることを検討する」と回答した。また、「まだ分からない」との回答も4割以上を占め、「事業をやめることはない」という回答は半数以下にとどまった。
年間の課税売上高が1000万円以下で、消費税の納税を免除されている一人親方を対象に調査した。有効回答数は2689件。4月にも同様の調査を行った。全体の71・2%を50代以上が占め、町場や工務店の現場で働く回答者が中心となっている。
インボイス制度が2023年10月に導入されると、免税事業者に仕事を請け負わせる元請けや上位下請けなどの取引先(上位企業)は納めなければならない消費税額が増える。このため、免税事業者の一人親方に仕事が回らなくなったり、課税事業者への転換を求められる可能性がある。
インボイスの導入で「事業をやめることを検討する」という回答は9・5%あった。このうち、「収入が減るなら」としたのが6・3%、「収入が減らなくても、手続きが面倒なら」と回答としたのが3・2%だった。
また、上位企業から雇用をもちかけられた場合でも、「一人親方を続ける」という回答が44・9%あった。「雇い入れてもらう」は14・2%だった。
インボイス制度が23年10月から導入されることを「知らない」という回答は13・6%で、4月調査より10・2ポイント減少。取引先からインボイスに対応した請求書が求められる可能性があることを「知らない」という回答は28・5%で11・8ポイントの減少となり、制度はやや浸透したとみられる。
ただ、上位企業から免税事業者か否かの確認を受けたことが「ない」という回答は83・9%と大半を占める。制度導入後の取り引きについて上位企業から「特に何も言われていない」とする回答も80・1%となっており、事業者の大半でインボイス導入の準備が進んでいないようだ。
全建総連は今回の結果を踏まえ、制度の見直し・延期を働きかけていく。
提供:建通新聞社