経団連が11月14日に開いた過重労働防止対策セミナーで、国土交通省の山王一郎建設業適正取引推進指導室長が「建設業の働き方改革に向けた商慣行の是正」について講演した。残業時間の罰則付き上限規制が2024年4月から建設業にも適用されることを踏まえ、経団連会員企業の聴講者らに、民間工事の発注者として適正工期で契約する必要があることを説明。建設業の働き方改革への理解を求めた。
山王室長は、建設業が他産業と比べて出勤日数が多く、労働時間が長い実態を説明。特に民間工事の受注企業では休日の取得数が少ない実態にも触れた。
対策として、中央建設業審議会が作成した「工期に関する基準」を紹介。地中に障害物があるなど、工事が不確定要因でストップした事例を取り上げ、工期延長に応じなければ「著しく短い工期」と見なされ、勧告の対象となり得ることを説明した。
山王室長は建設業が今後、働き方改革を進める中で「今まで通りの工期ではできなくなると思う」と述べ、余裕ある工期での契約を促した。
セミナーには、会員企業の労務担当者を中心に242人が参加した。セミナーの終了後、経団連からは、取引適正化に向けて参加者の理解が深まったとの感想が寄せられた。
国交省では今後も、こうした機会を捉えて民間発注者に理解を促していく。
提供:建通新聞社